執事と共に賭け事を。
「けど、あまり舐められるのも気分いいものじゃないからね」


ツバキは、春樹を引き寄せた。


「ツバキさん?」


――疑問の声を上げる春樹の唇を、ツバキが塞いだ。


そして、その肩越しにダーツを放った――

恐ろしいことに、そのダーツは的の真ん中を射抜いていた。

呆然とする春樹をするりと抜け、ダーツを抜くために的へと歩み寄る。


「傷だらけじゃない……」


ツバキが声を掛けた。

確かに、恵理夜の首にはくっきりとベルトの固定痕がついてしまっている。

けれど恵理夜は、強い瞳でツバキを睨み、首を降った。

構うな、とでも言うかのように。

そして、春樹を睨んだ。
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