執事と共に賭け事を。
「それにしても大した命中力ね。ベルトを断ち切るなんて」


恵理夜の首すれすれに刺さったナイフは、見事に恵理夜の首を緊縛するベルトを断ち切っていた。


「お嬢様、そのまま動かないで」


優しい声でそう告げられ、恵理夜が疑問を抱く間もなく、その手からダーツが放たれていた。


――刺さった先は、19のトリプル。


たった1投で19の陣地を自分のものにしてしまった。

春樹の得点が130になる。


「大丈夫でしたか」


断ち切ったベルトを外しながら春樹は恵理夜に声を掛けた。

首に鬱血はあるものの、擦り傷などは出来ていない。

しっかりと頷く恵理夜に、春樹は安堵の息を漏らす。
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