執事と共に賭け事を。
「やっぱり君は、ポーカーフェイスが上手ではないみたいだね」


揶揄するようにくすくす笑いながらヒガキは言った。

恵理夜を捕えて離さない目線。


「さあ、君の番だよ」

「9」


恵理夜は、宣言しながらカードを出す。


「10だ」


恵理夜は、相手をじっと見つめた。

ヒガキも、余裕の表情で恵理夜を見つめている。


「J《ジャック》」

「ダウト、だね」


カードをめくる。

恵理夜が出したのはK《キング》のカードだった。

恵理夜の背中に冷たい汗が伝う。


――何故、彼には自分の嘘が通用しないのだろう

――同時に、何故彼には自分の勘が通用しないのだろう


先のゲームの疑問が、再び首をもたげる。
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