執事と共に賭け事を。
「……良く、見抜けたね」


やや引きつった笑みで、相手は答えた。


今の相手の手札は5枚。


7枚あったカードが5枚になった、ということは2枚同時に出していたということだ。

あまり詳しいルールを知らない恵理夜はわかっていなかったが、このゲームにおいて1回に複数枚のカードを出すことは認められている。

だが、相手のイカサマは2枚目のカードしか明かさなかったことだ。

嘘のカードを出し、恵理夜の勘からのコールをさせ、2枚目に潜ませた正しいカードをめくる。


『秘密は、2枚目に隠されている』


とても単純なイカサマ。

けれど、視線や言葉によって恵理夜を疲弊、かく乱させ、そのイカサマへの注意を逸らし続けたのだ。
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