執事と共に賭け事を。
「怖かった。お祖父様に意見するのも怖かったし、私のしていることが正しいことがわからないのも怖かったわ」


家にとって、ヒガキを開放したというのは大きな損失になるだろう。

恵理夜にとって正しいことでも、祖父にとっては決して正しいことではない。


「正しいことを判断する力、それを持っている貴方を、尊敬する」


――恵理夜は、春樹に頬を打たれたときを思い出していた。

主人である恵理夜に手を上げるということは、さまざまなリスクを抱えていたというのがいまさらながら実感できた。

下手したら、解雇ということもありえるだろう。

しかし、春樹は恵理夜を信じ、そして正しい道をはっきりと示し、恵理夜の目を覚まさせた。
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