執事と共に賭け事を。
けれど、数分もしないうちにその震えは収まった。


「驚いたな……」


恵理夜から開放された手を不思議なものでも見るような目で見ながら言った。


「いつもは、半日震えている日もあるくらいなのに」

「私も、よく貧血とか発作で倒れるんです。でも、そういう時は、下手に抗うと余計に悪化したりするから、身体の言い分は聞いてあげたほうがいいです」


と、恵理夜は微笑んだ。


「君も、何か病気を……?」


再生不良性貧血――血液中の成分が不足する病。

恵理夜はこれを患っていた。


「ええ。でも、少し免疫が低いくらいで、今は元気ですよ」


と、微笑む恵理夜の顔がまぶしかった。
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