執事と共に賭け事を。
「生まれた場所っていうのは、選べないからね。同じように、運命も」


ババ抜きのルールに従ってペアのカードを捨てつつ、ヒガキは意味深に言い放った。


「けど、この家に生まれたおかげで強運は身につけたね」

「強運、ですか」

「ああ、人が相手のゲームには大抵、負けることは無い」

「すごい自信ですね」

「ま、ギャンブルの上では負けなきゃいけない場面もあるんだけど」


と、口をへの字に曲げながら言う。


恵理夜は、自分の勘が何かを告げているのを感じた。

嘘ではない、別の意図を。
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