執事と共に賭け事を。
「君のその目は、家の血筋かな」


ヒガキが、唐突に告げた。


「目、ですか」

「ああ、全てを見抜くような、鋭い目だ」


恵理夜は、思い出の中の両親を思い出しながら言った。


「……目は、母譲りだと聞きました。顔立ちは、父親似だそうです」


鏡を見るたび、二人を繋ぎとめているのが自分だというのを恵理夜は強く感じていた。


「そのご両親、今日は」

「……もう、亡くなっていますから」

「……すまなかった」


恵理夜は、微笑んで首を横に振った。
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