恋色語
えっ、今…なんて。


「違うんだよ。旭は悪くない。悪いのは俺だ。いつまででもあの時のこと引きずって、立ち直れてない俺だ。

瀬奈には感謝してる。あの時の感情を受け止めてくれて…生きる意味を与えてくれたから。

けど…その『俺が清淋高校に合格すること』って姉さんの夢…もうなくなった」


う…。
『俺はこの世界にいるのか?』
片桐の言葉がよみがえった。
この人は…悪いのを全て自分のせいにして。希望をなくして。


「姉さんをあんな目に合わせておいて…自分だけのうのうと生きて。俺って何なんだよ。…誰なんだよ」


自分を見ようとしてなくて。第三者として見て。

そこまで自分を追い込んでて。それほどこの世界から自分を消そうとして。
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