やさしい手のひら・前編【完結】
寂しい。声を聞くと余計に寂しくなってしまった

「亜美集合だって」

凌に声を掛けられバスに戻った

バスの窓から外を眺めていた。たった一日健太に会わないだけで、こんなにも寂しくて、あとの4日はどうしたらいんだろう…そんなことを考えながらバスはホテルへと向かった

部屋へ戻り、由里と先ほどの函館山の話になり、盛り上がっていた

温泉に行き、露天風呂に入り、私と由里は体が暖まり、ほっぺたが真っ赤だった

部屋に帰る途中、廊下で坂下と凌に会ってしまった

「由里」

目の前まで来た時、坂下が由里を呼び止めた

由里はハッと驚き、坂下を見た

「話がある」

いつもふざけた態度でいる坂下が真面目な顔で由里に言った

私はもしかしたら、と思い、由里の浴衣の袖を引っ張った

「亜美、先行ってて」

断ると思っていたのに由里は坂下の後をついて行ってしまった

「由里!」

由里は振り向き、私に微笑んで坂下と一緒に消えてしまった

「亜美、ちょっと」

「ねぇ、坂下、由里に言うつもり?」

「いいから来い」

凌に引っ張られて、凌の部屋に連れて来られた

「鈴木くんは?」

「女んとこ」

鈴木くん彼女いるんだ…

「慎、たぶん告ると思う。だけどそれは佐藤が決めることだから」

確かにそう。私が決めることではない。ただ由里を泣かせたくないだけ

「だから、ほっといてやれ。ついて行ったのは佐藤の意志だから」

「…うん」

由里なら私よりしっかりしているから大丈夫。私はそう思っていた

部屋の窓から海が見え、沖の方にたくさん漁船が浮いていた。私はそれを黙って見つめていた

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