やさしい手のひら・前編【完結】
由里は真っ直ぐ海を見ていた。そして私の隣に腰を下ろし

「私も慎を忘れていなかった。祐介といてもどこか比べてたんだ」

由里にとって祐介くんより坂下の方が気持ちが大きいということ

「祐介も好きだよ。でもね、さっき慎と話して気付いたの。私が好きなのは慎だって。あんなに苦しんで泣いてもやっぱり好きなんだって…」

私は何も言わず真剣に話す由里の話を聞いていた

「祐介には悪いと思ってる。今までのこと考えたら祐介を裏切ること出来ないのに。でも私はやっぱり慎が好き」

好きな人といることが一番の幸せ。自分の気持ちを誤魔化している方がひどいことなのかもしれない

「私、自分勝手だよね」

「そんなことないよ」

私は由里の考えが間違っているとは思わなかった

「由里が決めたことなら私は由里を応援する」

「ありがと」

由里はもう吹っ切ったのか私に微笑んだ

「帰ったら祐介に話すね」

祐介くんがすぐに身を引くのかはわからない。でも由里が辛い時は支えてあげたい

「亜美はどうなの?何を悩んでるの?」

「自分がどうしたら良いのかわからない。健太のことは大好きだよ。でもさっき凌のことが心配になって、それで…」

「2人の間で揺れてんだね?」

揺れているのか分からないけど、凌のことが引っかかっている

「・・・凌のことが心配で」

「そっか。だったら健太くんと別れな!」

「えっ・・健太と・・」

「この先また本郷は出てくるよ」

そうかもしれない。いつも凌は私の心の中に入ってくる
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