閃火高遠乱舞

３

　アメリカの中枢は、ワシントン州にあるコロンビア特別区である。
中央に主城コロンビア城がそびえ、軍事・政治を担っている。
　現在のアメリカ皇王はロンダリー・ラサーファ。
何よりも戦を好む、血に飢えた狂王である。
　しかし、実際それを支えるのは優秀な嫡子、アダリーだった。
そして、彼を慕う部下がアメリカを纏め上げている。
　そんなアメリカは、勿論強い。
軍部を担当しているトロイは、海戦がともかく強く全勝無敗。
「海神の申し子」とも呼ばれ、畏怖されている。
　かといって政治が不安定なこともない。
担当しているのはシード・クルガン。
そつなく決裁するその鋭い手腕だけでなく、彼は前軍部大将だっただけあり強い。
金の髪から「黄金の宰相」と尊称される。
　アメリカと言えば、たった一国でヨーロッパ連合とやり合っている大国。
その実力は並ではない。



そんなアメリカが、日本の実力をはかるために軍を動かした、という報せが帝に入ったのは、初夏のころである。