閃火高遠乱舞
 しかし、そんな宝王子を押しとめたのもまた、トウヤだった。
「でな、実はもう一個頼みがあるんだ」
「頼み…とは?」
 帝は無言だったが、宝王子の言葉をさえぎる様子はない。帝の許可が出たと自己判断して、宝王子は三人を見た。
「僕たちのほかに外政大臣がいるんだけど、その説得をお願いしたいんだー」
「説得?」
「ああ…俺たちがいつも来日できる身ならよかったんだが、ちょっと難しい。外大臣なら理由付けるの容易だからな」
 ミカエルは数日後女王として起ち、トウヤはその近衛となり、ラブラドールにも通常業務がある。そう何度も日本に来られるわけがない。その分外務大臣ならば、外国に行っても可笑しなことはない。表向きの要件とて、いくらでも後付けできる。
「なるほど」
 帝は頷くと、宝王子を見上げた。
 数日後、四龍将軍は全員でフランスに向かうことになる。その穴埋め要員は、フランスから四人の将校があてられた。






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