閃火高遠乱舞
 ミカエルが四人に向き直ると、ポンと新川の相手をしていたフランス人の肩に手を置く。外側に流した前髪からのぞく瞳が宝王子たちを映すと、大山は「うはぁ」と感嘆の息を漏らした。
「ものすっごい美形……」
「外人だからよく判んないけど、間違いなくモテるって…」
 大山と林はその人物をポーッと夢心地に見上げる。その背後でトウヤが苦心して沸き起こる笑みをかみ殺していることに気付かずに。
 ラブラドールが甘い笑みを浮かべ、紹介した。
「彼らが日本の四龍将軍と呼ばれる四人だよー」
「そうか…私はクラウディオ・ブリュガンだ」
 ブリュガン家はフランスに未だ強い支配力を有している四大公爵家の内の一家である。一族が各国に散っていることを有効利用して、代々外交職に就いているのだ。
 クラウディオはそのブリュガン家の現当主だ。
「よろしく頼むぜ」
 ボソリとトウヤが宝王子たちに呟く。クラウディオを説き伏せる、それが宝王子たちの任務であり、できなければフランスはヨーロッパから離れられない。責任重大な役どころだ。宝王子はクラウディオを見て、何とかなるだろうと軽く考えていた。




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