【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

酔っているのか、あの頃にタイムスリップしたような錯覚に襲われる。
翡翠のとなりに男は座ると、レッドアイで喉を潤す。


翡翠の前には本日4杯目になるオリジナルカクテルが用意される。

 「懐かしいな。 お前ここじゃそればかり飲んでたな。」

 「孝之こそ・・・」

ふたりしてまたこのカウンターに肩を並べて座るなんて・・・
翡翠の右側から聞こえる男の声も、笑顔もあの頃は当たり前だったこと。
翡翠は懐かしい反面、男の左薬指に光る指輪にあの日の事を重ねていた。
あの雨の日の事を・・・
あの雨の日に言われた男の言葉を・・・


 「わたし帰るね」

 「もうかよ。」

 「幸せそうな孝之を見れたからそれで十分」

翡翠の言葉が男の顔色を変える。
その言葉はどこか棘があり、男は翡翠の笑顔に毒気を感じていた。

翡翠の言葉はある意味本心だった。
ここに来た目的は孝之に会うことによって琥珀によって癒されつつあった過去を再確認するためだった。
そのためにはどうしても孝之には幸せでいてもらわなければいけなかった。

翡翠の絶望、悲しみ、悔しさ・・・の上に成り立つ幸せ。
翡翠は自分から傷口をえぐることで琥珀に出会う前の自分を感情を取り戻しつつあった。

男なんて・・・
愛なんて・・・

信じた方が馬鹿を見る。

男はみんな地位と名誉を守るためなら平気で裏切る。
孝之も琥珀も・・・

いつしか翡翠は隣に座る孝之に琥珀をダブらせていた。







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