【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
屋上の扉に手を伸ばしたのは翡翠だった。
エレベーターと屋上に続く扉しかない窮屈な空間から一秒でも早く解放されたかった。
キーンと澄み渡る空気。
肌に突き刺さる冷めたい風。
視界に飛び込んでくる空とビルの集合体。
「宝城さん。」
織江に名前を呼ばれるだけで身構える翡翠。
「さっきおばさまは私を琥珀さんの婚約者と紹介しましたがまだ正式なものではないんです。」
翡翠の視界は空でもビルでも無く織江を映していた。
それほどに織江の言葉は翡翠にとって驚くことだった。
まっすぐ織江をみつめるほどに。
「やっとちゃんと見てくれましたね」
そんな翡翠を見透かすように織江が微笑んで見せた。
「私は物心ついた時から親の決めた相手と結婚するものだと思ってきました。そうすることが弓月家に生まれた長女としての役目だと。」
真っ直ぐと翡翠を見つめ語り続ける織江から目をそらすことは翡翠には出来なかった。
「だからこそ琥珀さんを父から紹介された時も琥珀さんとの結婚を疑いもしなかったんです。だけど琥珀さんは違ったみたいです。」
「違った・・・?」
「琥珀さんはビジネスとして父や私と接しているだけでその先におばさまや父が望んでいるような結婚は存在しないと私にはっきりと。その理由が今日おばさまとご一緒して宝城さんとお会いしてはっきりとわかりました。」
力強い織江の視線が翡翠をしっかりと捕らえていた。
冷たい風は容赦なくふたりの間を通り抜ける。
「宝城さん琥珀さんと別れてください。宝城さんから別れを切り出してもらえたら琥珀さんもきっと私との結婚を前向きに考えてくださると思うんです。」
すがるような織江の声。頬を伝う涙が風にさらわれる。
素直に涙することを許された織江と人前で涙さえ我慢することを選ばなくてはならなかった翡翠。
目の前の織江の姿が羨ましく思えた。
エレベーターと屋上に続く扉しかない窮屈な空間から一秒でも早く解放されたかった。
キーンと澄み渡る空気。
肌に突き刺さる冷めたい風。
視界に飛び込んでくる空とビルの集合体。
「宝城さん。」
織江に名前を呼ばれるだけで身構える翡翠。
「さっきおばさまは私を琥珀さんの婚約者と紹介しましたがまだ正式なものではないんです。」
翡翠の視界は空でもビルでも無く織江を映していた。
それほどに織江の言葉は翡翠にとって驚くことだった。
まっすぐ織江をみつめるほどに。
「やっとちゃんと見てくれましたね」
そんな翡翠を見透かすように織江が微笑んで見せた。
「私は物心ついた時から親の決めた相手と結婚するものだと思ってきました。そうすることが弓月家に生まれた長女としての役目だと。」
真っ直ぐと翡翠を見つめ語り続ける織江から目をそらすことは翡翠には出来なかった。
「だからこそ琥珀さんを父から紹介された時も琥珀さんとの結婚を疑いもしなかったんです。だけど琥珀さんは違ったみたいです。」
「違った・・・?」
「琥珀さんはビジネスとして父や私と接しているだけでその先におばさまや父が望んでいるような結婚は存在しないと私にはっきりと。その理由が今日おばさまとご一緒して宝城さんとお会いしてはっきりとわかりました。」
力強い織江の視線が翡翠をしっかりと捕らえていた。
冷たい風は容赦なくふたりの間を通り抜ける。
「宝城さん琥珀さんと別れてください。宝城さんから別れを切り出してもらえたら琥珀さんもきっと私との結婚を前向きに考えてくださると思うんです。」
すがるような織江の声。頬を伝う涙が風にさらわれる。
素直に涙することを許された織江と人前で涙さえ我慢することを選ばなくてはならなかった翡翠。
目の前の織江の姿が羨ましく思えた。