【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
琥珀にとっての甘い時間が終わる。
琥珀が火をつけた煙草から放たれる白い煙が天井へと上る。
その煙を目で追ういながら翡翠が口を開いた。
「私もね何から話せばいいいのか整理できてないんだけどやっぱりふたりが出逢てしまった本当の理由(わけ)から聞かせてくれる?」
「主任?」
「私聞いたんだ何もかも。部長に・・・ 部長ねぇ私があんたを信じて待っている姿に同情でもしたんじゃないかな・・・」
「主任それって俺が何をしていたのかも聞いたって事だよな」
「えぇ。私もその中のひとりだという事も」
「ちがっ。違わないか。最初は主任が聞いた通りあの男と主任を別れさせるために近づいた。上司と不倫する女なんてどうしようもない女だと決めつけていたし。あの頃の俺は突然連絡してきてはあなたは神崎グループを継ぐ身なの何なのぬかすアイツらにも嫌気がしてた。」
「単なる当て付け? そんな理由に巻き込まれたんじゃたまんないわよ。」
「生きていくためだよ。生きていくために別れさせ屋を始めた。主任は想像つかないかもしれないけどな、父親が女作って離婚。母親も男作って蒸発。そんな状態で育った俺が真面(まとも)に育つわけないだろう? 主任が両親に愛されながら育っていた頃俺は大人にそれも実の両親に裏切られ生きてきたんだ。」
琥珀は感情露わに拳を握りしめ言葉を走らす。
その声は心の叫びそのものだった。
「そんな俺が初めて感謝されたんだ。別れたい女がしつこくて困るって泣きついてきた友人のその女を俺がその気にさせた時。すんなり別れられたって喜んで金まで握らせてくれた。俺でも誰かのためになること出来るんだってそれが嬉しくて何の取り柄もないどうしようもない馬鹿な男が生きていくためにたどり着いた答えが別れさせ屋だった。 まぁそう長くたたないうちにあの女が現れて状況は凄まじく変わるわけだけど。」
「そうね。あんたがあの女に連れられてうちの会社に来たのがきっかけのようなものだものね。」
「そうさ。俺は部長の依頼を受け主任に近づいた。それは認める。だけど主任と過ごすうちに主任の事を本気で愛していたんだ。最初はそんな感情でさえも自分では信じられないくらいだった。」
その言葉は翡翠の胸にも響いていた。
翡翠自身も琥珀に惹かれていく自分を信じる事も認める事も出来ない瞬間があったからだ。