【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
結果織江が望み宣言した通りの結末を迎えていた。
1か月が過ぎた頃には琥珀と織江の婚約が正式に決まったと上機嫌に口角を上げ、嫌味とも取れる笑みを浮かべ夫人が翡翠に告げた。
翡翠の苦手な人を見下すような笑み。
夫人にとっても願ったり叶ったりの様子で織江とふたり上機嫌で挙式の日取りの相談を兼ね部長を訪ねていた。
「宝城さんに全てお任せするわ。織江さんの相談に乗ってあげてくださいね。琥珀は仕事が忙しくて。」
琥珀と織江の挙式の担当者に翡翠を指名する夫人。
夫人の発した一言で、翡翠はまた夫人と顔を合わすことになった。
夫人の当て付けにも思える行動に翡翠は少なくとも動揺していた。
琥珀と織江の事を伝えるだけでは物足りないのか、その挙式のプラン全てを翡翠に任せてきた。
琥珀と織江の幸せなシーンの一コマ一コマを翡翠自身に刻み付けるかのように。
挙式と言えば花嫁と花婿にとって一生に一度の一大イベント。
そんな大切な瞬間をこんな風に決められていく織江。
本当なら横には夫人ではなく琥珀がいてもおかしくない。
夫人の満面な笑みに比べ、織江の笑みには複雑な心境が見え隠れしていた。
翡翠は仕事だと割り切ろうと必死だった。
平静を装う事で夫人の嫌がらせにも耐えた。
クレーマーとも呼べるほどに夫人は翡翠を捕まえては小言の連発。
口を開けば「神崎グループの社長のお式なのよ」と言い放った。
それでも翡翠は、琥珀と別れて自分に残っているものが仕事だけだという事を再認識していた。
仕事だけは裏切らない。そんな想いもあった。
そんながむしゃらな姿が夫人は面白くなかった。
翡翠が落ち込み逃げ出す姿を見たかったのだ。