【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
真っ白な天井を翡翠は眺めていた。
「目が覚めたようだな。」
翡翠が耳にした声は部長の声だった。
声のする方に首だけ動かし視線を送ると腕組みをして仁王立ちしている男の姿があった。
男の顔は朝に増して険しく眉間にはシワが寄っていた。
「わっ私すいません。・・・・・っ」
慌てて身を起こすと腹部に痛みが走る。
「横になってろ。」
「すいません。私大切な時に。」
全て失った翡翠に唯一残された仕事。
そんな仕事にまで穴を開けてしまった自分が情けなく腹が立ち翡翠は掛け布団を鷲掴みにした。
頬には涙が伝い、悔しさで唇を噛みしめた。
「翡翠お前気づいてなかったのか? お前お腹に・・・」
男は何とも気まずそうな顔で翡翠のお腹に視線を向けた。
「部長?」
「アイツの子なんだろう?」
翡翠は男の言葉に息を飲んだ。
お腹に赤ちゃん?
お腹に手を当てたとたん不安が翡翠を襲った。
腹痛・・・流産・・・。
あまりに翡翠には現実すぎて過去のあの日がフラッシュバックしていた。
「私の・・・ 私の・・・ 赤ちゃんは!! 赤ちゃん!!」
翡翠は何降り構わず叫んでいた。
その声は静まり返った病室に響き渡る。
「翡翠!!」
黙らせようと男の呼ぶ声など翡翠には関係なかった。
「大丈夫だから。赤ちゃん大丈夫だから」
男の腕が翡翠の両肩をがっしりと押さえつけると男は翡翠の目をしっかりと見ていた。
翡翠の目に映る男の目は真剣そのものだった。