恋愛依存症
第二章 ―憧れの時―

DV

紀子は父親に抱かれた記憶が無い。

父親と写っている写真は紀子が三歳の時の七五三の時に鳥居の前で撮ったスナップ写真だけだ。

唯一の家族写真だというのに、7歳の綾音のおすましした顔とは違い、3歳の紀子は疲れて泣いた後のような顔で写っている。



紀子の両親は紀子が13歳の時にDV(ドメスティックヴァイオレンス)が原因で離婚した。


パパはいつもママを突き飛ばしていた。

何が原因だったのかなんて子どもにわかるはずがない。

きっと大人になったって、本当の原因なんてわからないんだろう。



でも紀子は知っていた…

パパもママも本当はとっても愛し合っていたのを。
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