恋愛依存症
「えっ???」

キスもそうだが、エレベーターが開いた目の前の光景にも驚いた。

床にはバージンロードのような赤い絨毯が目の前にある大きな扉に向かって敷いてあり、
ドアの中からはとても賑やかな音楽が聞こえてきた。

照明は暗くあまりよく見えなかったが、否応にも華やかな店内は想像できた。


紀子は場違いな所へ来てしまったと直ぐに自覚したが
お金も渡してしまったし、
手を握られていたし、
ここで気後れして帰るのも格好悪い気がして入る覚悟を決めた。


自分の格好が気になった。


(こういう所は店で着ているような服で来るべきだよな…)


紀子は、茶色のワンピースにこげ茶のジャケットを羽織っていた。

店の雰囲気とはとても似つかわない地味な格好で少し恥ずかしかった。

それに靴もヒールの低い安物のパンプスだ。



躊躇してる紀子を全く気にもとめず、
彼は紀子の手を引き店内へ入ると突然

「いらっしゃいませ!!」

と大声をあげた。


紀子が又もやびっくりする暇もなく、
奥の方から従業員の男の子たちが一斉に

「いらっしゃいまっせぇえ!!!」

とこれ又大声で声をかけてきた。


《こんなにいるの~?あっちゃ~!!これって高級ホストクラブじゃん!!!》

ビルの外観からは、こんな大きなホスクラが入っているビルなんて想像もつかなかった。
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