愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
バイクを走らせてたどり着いたのは、閑静な住宅地にある、一軒家。
門柱の前にはプランターが置かれ、黄色いマリーゴールドが花を咲かせている。
玄関から続く庭は綺麗にガーデニングされ、色とりどりの花が咲いている。
一年ぶりの我が家は、特に変わっていなかった。
でも――母さんがいた頃は、こんなものなかったのに。
母さんは花を置いたりしなかった。
嫌いというわけではなかったけど、人一倍仕事熱心だった母さんは庭をいじったりする時間なんてなかったし、あそこは専ら俺たち兄弟の遊び場だった。
今も無造作に置かれたサッカーボールはその面影を残してはいるけど、昔のそれとは違いすぎる。
庭から目を逸らして車庫の方に向ければ、去年と同じ2台の自転車の側に、可愛らしいピンクの三輪車が見える。
――ああ、もうそんなに大きくなったのか。
嬉しいような、悲しいような、複雑な気持ちを抱えて、俺はバイクを車庫の隅に止めてから玄関へ行き、家のインターフォンを押した。