愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
「だ、大丈夫!すぐ戻るからちょっと待ってて」
そう部屋の奥に叫ぶように言った菜穂に腕を引っ張られて、扉がパタンと閉まる。
菜穂が完全に外に出て、手を離されると梅雨の湿った風に髪が吹かれた。
「誰だよ」
「……」
「今の、誰だよ…?」
自然と、握る拳に力が籠る。
聞こえたのは、若い男の声。
菜穂に男の兄弟はいないはずだし、父親の声だとは思いにくい。
「誰だっつってんだよ」
「誰でもいいでしょ…」
睨んで答えを促せば、聞こえて来たのは開き直ったような言葉。
「あ?ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」
自然と低くなっていく声と、砕けていく言葉遣い。
「っ、とりあえず、今は帰って……また今度はな「意味わかんねぇ」
菜穂の声を遮って、呟くように言う。
「お前、何がしてぇんだよ」
思わず零れたのは、俺の弱気な本音だった。