愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
絡まる視線。
菜穂の瞳は一つの揺れもなかったけれど、俺の瞳は困惑に揺れているだろう。
確かに、全ての真梨の過去は知らない。
断片的には知っていたとしても、それは噂や人に聞いた話で、なんの信憑性もない。
ましてや、真梨に直接聞いたものなんて一つもない。
結局俺は、真梨のことなんて全くわかっちゃいない。
「そうだな、知らねぇよ」
知らない。だけど、この二か月。
一日目で覆された水川真梨のイメージは、二か月でまた姿を変えた。
たったの二か月だけど、噂の水川真梨は本当の真梨じゃないこと、俺は知ってる。
「そう。じゃあ詳しくは話せないけど――出会った当時、真梨はあまり食べない上に睡眠時間も極端に短い。それに加えて、真梨は人間不信だった」
人間不信…?
しかも睡眠時間も短い?
「嘘だろ…?」
呟いたそれに嘘じゃない、と言うように菜穂は首を横に振る。
嘘だと思いたい。
今は普通に笑ってるし、寝れてないのは寧ろ蓮の方なのに。
「だから、蓮斗と付き合うことになったって聞いた時、嬉しかったのと同時にちょっと寂しかった」
「……」
「あたしは真梨に気を許してもらうのに三カ月かかったの。
三か月間、大河に会うこともあまりできずに真梨につきっきり。
あたしを怖がって、あたしの部屋の隅で蹲ってる真梨に話し掛けて、笑い掛けて。返事が初めて返って来た時はすごく嬉しくて。
気を許して、あたしに笑顔を向けてくれるようになったのが丁度三か月後。
あたしに三カ月かかったことを、蓮斗は一週間もかからずにやってのけた。
それが悔しくて、でも真梨にとって安心できる相手が増えたのが嬉しくて……親の心境って言うの?親離れみたいで、ちょっと寂しかった」