愛花
友達は勝手なことを言う。

゛モデル?画伯ってプレイボーイらしいから気を付けたほうがいいよ。でも圭織は大丈夫かも…″

゛どういう意味?もう!人の気も知らないで!絵を描くために美術部に入ったのに…モデルなんて″

教室の前の廊下が騒がしくなった。

゛真中。準備室に来て。″

゛は、はいっ!″

どうしよう…なんて悩むまもなく連れていかれた。

準備室は大きな窓から太陽が射し込んでいて光の世界だった。

゛その椅子に座って″

言われるままに窓際に置いてあるまるいすに座った。

゛窓の外の木を見て″

窓の外にはまだ青い葉を抱え込んだ銀杏の木があった。

時々鳥が来ては羽を休める。

憩いの木になっていた。

いろんな鳥がやってくる。

楽しくなって目で追ってみる。

゛真中ってホント素直だよな。思うとおり顔に出るんだもの。″

゛え?そうですか…?″

恥ずかしくなってしまった。

゛ほら。恥ずかしいって思うから顔が赤くなってるし…可愛いな″

゛え?″

可愛いなんて言われたことないし…

゛はい。いいよ。ありがとう!デッサン出来たから後は僕の創作で完成させるよ。僕がモデルした絵完成させてよ。真中の感性に期待してるからさ。″

゛はい。″

白いキャンパスに画伯の顔を描き始めた。

心を込めて描き始めた。

圭織は恋をした。

平岡画伯に恋をした…

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