愛花
愛花―まなか―
私は相変わらず絵を描いていた。

変わったのは私が高校生になったことと雑誌のイラストを描いて収入があることと祖父が心臓を悪くして寝付いてしまったことだ。

イラストの仕事はミヤビが持ってきてくれる。

最近付き合いはじめた雑誌社の新人社員に私を売り込んでくれたのだ。

祖父が病に倒れてからは祖母が看病するために今までの仕事を休みがちになったので私のアルバイトを許してくれることになったのだ。

イラストのバイトは案外収入がよかった。

私の絵が評判が好いからと次から次に仕事を回してもらえたからだった。

最初は小さな挿し絵みたいなのから今はページ半分くらいのイラストを描かせてもらっていた。

ミヤビは彼の仕事の手伝いをしているのが楽しくて仕方ないらしい。

私のイラストを見てアドバイスしてくれる。

テーマを決めて描いていく。

最初は季節から始まった。

春…桜、若葉、ひな祭りなど華やかな色を使って描いてみた。

夏…青空、海、白と青を基調にして描いてみた。

秋…落ち葉、紅葉、赤や茶、黄やオレンジ、もの悲しい感じで描いてみた。

冬…やっぱり雪。しんしんと降り積もる感じで描いてみた。

< 35 / 70 >

この作品をシェア

pagetop