愛花
゛この料理ってアヤちゃんがつくったの?″

゛そう。おいしくないかも…″

゛そんなことはないけど…この前のイラストに似てるよね。″

゛ん。そのとおり!ホワイトソースのスパゲティは雪野原、ブロッコリーは小さなツリーで人参は星。チキンは…何にしようかな″

゛おいしいよ!崩すのが惜しいけど食べチャオ!″

二人でこんなふうに食べるなんて初めてだったから楽しかった。

食事の後ろうそくを立てて二人で見つめあった。

悠史さんはそっと抱き寄せてくれた。

人の肌は暖かかった。

離れたくない…と思った。

 愛してる…

 離れたくない…

゛痛いよ。アヤちゃん、大丈夫だよ。離さないよ″

私はうなずいた。

心の中で願った。

 赤ちゃんが授かりますように…

もしも悠史さんが雅美の許に戻っても寂しくないから…

こんなことを願うのは変かなぁ。

声には出さずにただ願った。

もう一人にはなりたくない…

悠史さんとは一緒にはなれない…
漠然とそう思った。
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