愛花
新年がきた。

クリスマスのミサに行かなかったので新年には教会に行こうと思った。

空は今にも雨が降りそうなくらい曇っていた。

寒いから雪になるかもしれない。

悠史さんとはクリスマス以来会ってない。

仕事もなかったし、たぶん忙しかったのだと思った。

教会には多くの人がやってきていた。

私は中に入って後ろの方に座った。

神父さまが入ってこられた。

賛美歌を歌ってお話を聞いて…でも私はあまり聞いていなかった。

マリアさまを見ていた。

私の今の幸せはいつまで続くのでしょうか。

このままでいいのでしょうか。

心のなかで聞いてみた。

優しい微笑みを見つめていた。

ミサが終わって帰ろうとした時だった。

声をかけられた。

゛アヤ!″

雅美だった。

゛ミヤビ?″

゛クリスマスは来なかったの?仕事忙しかったの?″

私は驚いた。

゛お腹、赤ちゃん?″

゛そうなの。もうすぐ産まれるのよ!″

゛いつのまに…結婚したの?″

゛結婚してないよ!悠史の子だもの。シングルマザーよ。″

゛え?″

わからなくなった。

雅美は悠史さんと別れた時にはもう妊娠していた…ってこと?

゛そのこと、悠史さんは知ってるの?″

゛年末にばれちゃった。おばさまがバラしちゃったのよ。本当は一生教えてやんないつもりだったのに子供のこと考えなさいって叱られちゃって。″

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