それでも、まだ。
『………神田?』
セシアは嫌な予感がした。
『神田!どこにいるんだ!?』
セシアの声は、部屋の中に虚しく響き渡った。
クローゼットや浴場、トイレまで隅々まで探したが、神田はいなかった。
―――何か別のところにいるのだろうか。
いや、それはないはずだ。自分はこの部屋に来るまで、一応すべての部屋に顔を見せて、会った人たちに挨拶をしてきたのだから。
『ん……?』
セシアは風が吹き込んできているのを感じた。
そして、部屋の奥の窓を見やると、鍵がかかっておらず、僅かに開いていることに気付いた。
『…まさか』
―――ここから出たのか?
無理に決まっている。生身の人間である神田にとって、この地上から高いこの窓から脱出することは不可能だ。
しかし、連れ去られたとしたら?
セシアは、シキからシーホークが例の襲撃時、神田を狙ってきたと言っていたのを思い出した。
セシアは背中に冷や汗が流れるのを感じた。
とにかく、誰かに知らせないと。
セシアは踵を返すと、急いで部屋を後にした。