それでも、まだ。
『基本的に、ここでは、どこでも行って構いません。神田さんのことはこの組織全員に知らせておきますので。』
シーホークの広くて簡素な自室に入った神田は、その言葉に驚いた。
『え?どこでも行っていいんですか?何か私に知らせたくないこととか……』
『それではこの組織に来た意味がないじゃないですか。大丈夫ですよ。それに、明日から3日間、私はちょっとここを抜けなきゃならないので。』
にっこりそう言うシーホークに神田は少し嬉しくなった。
―――ここなら、事実を知れるかもしれない。
『…ありがとうございます!』
神田が深々と頭を下げると、同じく部屋にいたリーヤが口を開いた。
『……それはそうと、主。人間界の方で動きが…。』
『そうですか。ではちょっと行きましょうかね。ところで、ペトラルカの様子はどのような感じですか?』
『…あぁ、もうあと2、3日安静にしていれば大丈夫らしいですぜ。』
神田がきょとんとその様子を伺っていると、シーホークはクスリとその様子を見て笑った。
『神田さんも私と行きますか?』
『え?いいんですか?』
神田が驚きながら嬉しさを含めた声色で言うと、シーホークはまた笑みを深めて頷いた。
そして神田とシーホークは部屋を一緒に後にした。
その様子をリーヤが怪しげに笑って見ていたことに、神田は気付けなかった。