ただ今、政略結婚中!
クライヴはなぜか私の側に居る。


たどたどしい会話が精一杯なのに、辛抱強く話しかけてくる。


雰囲気が謎めいていて、悪役にはぴったりな人だな。


この前の映画の悪役はアクションがすごかったけど、あれは彼が自らやったのかな?それともスタントマン?聞きたいけれど、それを聞けるような会話が出てこない。


パーティーバッグが小さかったせいで、電子辞書は入らなくて持ってこなかった。


あれを一番に優先させるべきだったな……。


唯一、日本語が通じるのはエステルだけ。


でも彼女は忙しくてこちらに来る様子はない……今更ながら他の場所で会うことにすれば良かったと思った私だった。


『何か食べよう。お腹は空いているだろう?待ってて』


彼は立ち上がると、お料理が用意されているコーナーへ軽やかな足取りで向かった。


彼が言った言葉が、なんなのかわからず、私に飽きていなくなってくれてもいい。と思った。


シャンパンを飲みながら周りを見渡していると、クライヴが両手に料理をのせたお皿を持って戻ってきた。


『どうぞ、召し上がれ』


にっこりと笑みを浮かべる彼は紳士的な魅力に溢れている。


結婚していなかったら、彼の笑顔にコロッと参ってしまうかもしれないな。


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