ただ今、政略結婚中!
ふたりから視線を逸らそうとした時、ふいにエステルが私の方を見た。


そして、勝ち誇ったような笑みを浮かべ隼人さんの頬にさりげなく唇を寄せる。


あの笑みを見て悟った。


彼女は話をする為に私をパーティーに誘ったんじゃない。


隼人さんとの仲を見せびらかすために呼んだんだ。


あなたは妻かもしれないけれど、愛しているのは私よと。


その考えを振り払うように立ち上がった。


そこへ、ふらふらと赤毛の男性が近づいてきた。


顔が赤くて、あきらかに酔っているみたいだ。


彼を避けようと身体を横に動かす。


『ひとりで寂しそうじゃないか、俺と一緒に飲もうぜ』


話しかけられたってわからない私は無視して歩き始めた。


『おっと!無視かよ』


背後から腕を強く掴まれた私はグイッと後ろに引っ張られた。



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