ただ今、政略結婚中!
「すみません、離して下さい」


腕を掴んだ手を振り払おうとした。


簡単にその手は振りほどけたけれど……。


『お高くとまるなよ。いいじゃないか、少しだけ一緒に飲もうぜ』


すぐに肩に腕が回されてよろめいてしまった。


すかさず、抱き寄せられる格好になって彼の唇が顔に急接近してきた。


「っ!嫌っ!離してっ!」


赤毛の彼の腕を振りほどこうとすると、その反動で足元が滑った。


あっ!と思った時には七色の光のプールの中へ派手な音をたてて落ちていた。


もがく頭で思い浮かんだのはエステルの勝ち誇った笑顔だった。


膝丈のドレスとはいえ、ドレスのせいで水面に顔を出すのが大変だった。


やっとのことでプールの縁をつかむと顔がやっと水面から出せた。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


呼吸が苦しくて、縁につかまりながら荒く息を繰り返した。


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