ただ今、政略結婚中!
顔を出すまでにずいぶん時間が経ったように思えたけれど、実際はほんの少しだったのかもしれない。


息を整えていると、ピカピカに磨かれた革靴が目に入った。


「大丈夫か?」


声をかけたのは、隼人さんだった。


恥ずかしい……。


のこのこと、ここまで来て見たくない現実をはっきり見せられて、更に失態をさらしてしまった。


穴があったら入りたい心境とはこのことだろう。


とにかくプールから出なきゃ……。


何を考えているのか分からない表情の隼人さんは腰を低くしてが手を私の顔の前に差し出した。


「早く掴まれ」


「けっこうです。濡れますから退いてください」


引き上げてくれようとしているのに可愛げのない私。


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