ただ今、政略結婚中!
「いいから掴まれ」


縁に掴まっている私の腕を掴むと、軽々と持ち上げられた。


タイルの上に引き上げられると、膝がガクガクしてよろけてしまう。


すかさず私の腕を掴む隼人さんの指に力が入る。


隼人さんの支えが無かったらその場に崩れるようにしてしゃがみ込んでいたかもしれない。


履いていたブロンズ色のパンプスは無くなっていた。


ハッとしてプールを見ると、水面にぷかぷか浮かんでいる。


無意識に取りに行こうと身体が動いたけれど、隼人さんの腕に阻まれた。


「なにをしようとしているんだ!?」


「パンプスが……」


びしょ濡れなのだからもう一度入って濡れてもかまわない。


ぬれねずみ状態で惨めで、みんなに注目されようがかまわない気持ちだった。


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