ただ今、政略結婚中!
「放っておけ」


「かまわないで――」


放っておいてほしい。そう言おうとしたその時、エステルが現れて隼人さんの横に並んだ。


「アキさん!大丈夫ですか?」


エステルが心配げに聞くけれど、濡れないように距離を置いているのがわかった。


「はい」


この美しい人と話をしたくなかった。


私は俯いてドレスを手繰り寄せて裾を絞る作業に没頭したフリをした。


『エス、シャワールームと着替えを貸してくれないか』


隼人さんが彼女に何か言っている。


『ええ。もちろん、かまわないわ』


エステルと話し終えた隼人さんは私に向き直る。


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