ただ今、政略結婚中!
部屋を出てレストルームの表示を探しながら廊下を歩くと、女の話し声が聞こえてきた。


「本部長、今夜はご一緒させてください」


あきらかに女性が誘う声に、びくっと足を止める。


本部長って……隼人?


「何度言ったら分かる?」


隼人の冷たい声が聞こえた。


「奥様がいてもかまわないんです 本部長が好きなんですもの」


脚が小刻みに震えてくる。


「あいにく俺は君を女として見ていない このまま過激な行動を続ければ解雇もあり得るぞ?」


「そんなの口ばかりですわ 私に惹かれているのでしょう?ご結婚なさっているから、無理に想いを閉じ込めているだけです」


「俺が触れたいと思うのはただ一人だ 妻の亜希しかいない」


その言葉に私は息を呑んだ。


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