記憶の桜 -栄枯幻世-
「あの子は大丈夫なんどすか!?」
鈴蘭は涼の事が心配のようだ。
「今は総司達がついてるから大丈夫だろうが…」
精神的に参ってるかもしれない――。
新八は言葉を切ったが、そう言いたかったんだろう。
「ほな、早く帰ってあげた方がよろしいんとちゃいます?」
白百合は他人事のように言った。
何だ、こいつ…。
呑みに行った時は愛想が良いと思ったが、こっちが素か?
「そうだな。戻ろうぜ、土方さん。涼が心配だ」
「ああ」
俺は原田に急かされつつ、白百合の事を頭の片隅に置きながら、屯所に帰った。