記憶の桜 -栄枯幻世-


「白百合を出せ」




置屋に着いて早々、あの女を呼んだ。




「白百合なら、まだ帰って来てまへん」




店先にいた芸妓に聞くが、白百合は今朝、俺達が帰ってからすぐに出かけたらしい。




「そうか…」




引き返そうとした、刹那――。



「あら、土方はん。どないしはったんどすか?」




聞き覚えのある声…。




振り返ってみると、俺が探していた女――、白百合がいた。











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