記憶の桜 -栄枯幻世-


白百合は小走りで駆け寄って来ると、俺の着物の裾を掴んだ。



「うちに何か用どすか?もしかして、うちを指名に――」




ぱんっ!




破裂音が響く。




白百合は赤く腫れた頬に手を当て、尻餅をついた。




「土方…は…ん…」




「何だ?一発じゃあ、足んねぇのか?」




俺はもう一発殴ってやろうと、手を振り上げた。




「止めろ!土方さん!!」




原田が振り上げた俺の手を掴み、制した。








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