記憶の桜 -栄枯幻世-
しかし、根負けしたように溜息を吐くと、葛葉の方を向いた。
彼の眼差しは関わって欲しくないという切望の思いが込められているようだった。
それほど、副長にとって彼女は大切なのだろう。
会議が終わり、随時解散して行く中、俺は葛葉に歩み寄る。
「葛葉、無理だけはするな」
「はい、分かってます」
笑顔で答えると、彼女は広間から出て行った。
頼むから、副長の為にも無茶だけはしないでくれ。
そう願いながら、俺は夜の御用改めの用意を始めた。