記憶の桜 -栄枯幻世-
誰が持って行っても、食べなかった涼ちゃんが…。
土方さんはどんな説得をしたのかな?
「ごちそうさまでした!」
涼ちゃんは笑顔で手を合わせた。
久し振りに見るあの子の笑顔を愛おしく思う。
「結局、全部食いやがった」
土方さんはげんなりとしていた。
あの子の笑顔の傍にはいつも土方さんの姿がある。
その光景に胸がちくりと痛んだ。
「何だかなぁ…」
僕は涼ちゃんと土方さんの声を聞きながら、青い空を見上げた。