記憶の桜 -栄枯幻世-


「平助達が離隊するってなったら、お前は哀しむだろうな…」




涼を起こさないように、黒く艶のある髪に触れた。




「少しだけ我慢してくれ…。そしたら、すぐにまた逢えるから」




髪を梳くと、俺は涼の部屋を後にした。




ふと、空を見上げると、冬の月が何か儚げに光を放っていた。



まるで、誰かの心を映しているかのように――。






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