記憶の桜 -栄枯幻世-


「涼ちゃん…。哀しい時は泣きなよ」




沖田さんは私の感情を読み取ったように、声をかけて来た。




そんな彼の気遣いに、私は首を横に振った。




声を出さないのは出したら、泣いてしまいそうだったから…。



「葛葉君、無理しなくて良い。泣きたい時は泣きなさい」




近藤さんが私の頭を撫でてくれる。




この手…、父上の手に似てる…。




懐かしい思い出と哀しみが重なり、私の目から涙が零れた。





< 399 / 412 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop