記憶の桜 -栄枯幻世-
「涼ちゃん…。哀しい時は泣きなよ」
沖田さんは私の感情を読み取ったように、声をかけて来た。
そんな彼の気遣いに、私は首を横に振った。
声を出さないのは出したら、泣いてしまいそうだったから…。
「葛葉君、無理しなくて良い。泣きたい時は泣きなさい」
近藤さんが私の頭を撫でてくれる。
この手…、父上の手に似てる…。
懐かしい思い出と哀しみが重なり、私の目から涙が零れた。
メニュー