記憶の桜 -栄枯幻世-



私も食事を再開しようとした矢先、勢いよく広間の障子が開け放たれた。



賑わっていた室内が水を打ったように静まる。



「何だ?この馬鹿騒ぎは」



そこには、不機嫌そうな男が立っていた。


「芹沢さん…」



土方さんの顔が険しいものに変わっていく。



「ん?土方、そやつは誰だ?」



男は持っていた鉄扇を私の方に向けた。



「今日から俺の小姓になった葛葉だ」



「ほう…」





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