記憶の桜 -栄枯幻世-
それらを持ち、土方さんが待つ縁側に戻った。
「しみますよ」
手拭いを水で濡らし、土方さんの手を冷やしつつ、皮がめくれ上がっている所を優しく拭いた。
「…っ!」
しみないはずが無い。
実を言うと、私の左手も冷たい水がしみて、痛い。
でも、今は彼の傷の方を優先するべきだと思い、痛みに耐えた。
傷口を拭き終えると、薬を塗り、細長く裂いたさらしを巻く。
薬も塗ったし、腫れさえ引けば、大丈夫だろう。