記憶の桜 -栄枯幻世-
それから数刻後―。
ようやく、屯所内の掃除が終わった。
「やっと終わった…」
私は縁側に座ると、冷たい床に横になった。
「もうこんなのはごめんだ…」
私の横に腰を下ろした土方さんは息を吐き、両手を後ろにつく。
「お疲れ、2人共」
声のした方に視線を向けると、盆に何かを乗せた原田さんと井上さんがいた。
「これは俺からの差し入れだ」
原田さんが差し出した盆の上には、煎れたてのお茶とお饅頭が置かれていた。