記憶の桜 -栄枯幻世-


それから数刻後―。



ようやく、屯所内の掃除が終わった。



「やっと終わった…」



私は縁側に座ると、冷たい床に横になった。



「もうこんなのはごめんだ…」



私の横に腰を下ろした土方さんは息を吐き、両手を後ろにつく。



「お疲れ、2人共」



声のした方に視線を向けると、盆に何かを乗せた原田さんと井上さんがいた。



「これは俺からの差し入れだ」



原田さんが差し出した盆の上には、煎れたてのお茶とお饅頭が置かれていた。




< 82 / 412 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop