あたしの彼は『ヒドイ男』
 

「えり子ちゃん、なに食べますー?」

「どうしようかな。今日のパスタはなんですか?」

「今日はトマトがワタリガニでオイルがアーリオ・オーリオ、クリームが海老とマッシュルームです」

手書きの黒板を指してそう言われ、考え込む。
ワタリガニのパスタを食べたいけど、手が汚れるしどうしよう。不器用だから、洋服にソースを飛ばしてしまいそうな気がする。

下ろしたての白いブラウスを着ていた私は、黒板を睨んだまま考え込む。

「俺のおすすめはクリームかなぁ。美味しい白ワインもあるから一緒にどうですか?」

うーん。クリームソースもおいしそう。
人懐っこい広瀬くんにそう言われ、さらに迷っていると、目の前のメニューを取りあげられた。
驚いて顔を上げると、カズが私の持っていたメニューをさっさと閉じてカウンターの隅に放り投げる。

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