あたしの彼は『ヒドイ男』
ふーっと白い煙を吐き出して、ゆっくりとこちらを見る、切れ長の黒い目。
そこに写ってる私は、きっと子供みたいなふくれっ面だ。
カズはゆっくりと唇から煙草を離すとにやりと笑う。
煙草を持っていない方の手で、私のふくらんだ頬をそっと撫で、機嫌を窺うみたいに身体を屈めてのぞきこんでくる。
「なんか怒ってんの?」
微かに首を傾けて、近づいてくる男らしい端正な顔。
煙草を吸うより先に、おかえりのチューをしてほしかったなんて、悔しくてとても言えないから、ふくれっ面のまま「なんでもない」と首を横に振った。
「ふーん」
不機嫌な私に興味を無くしたカズは私の頬から手を離し、靴を脱いで部屋に入る。
玄関に取り残された私は、その素っ気ない態度にちょっと意地悪してやりたくて、靴箱の上のライターをポケットに隠しながらカズのあとをついていく。