あたしの彼は『ヒドイ男』
 

私が泣こうが喚こうが、こうやって強引に口を塞いで押し倒せば、なんでも許されると思ってるんでしょ。
本当に自分勝手で俺様な、ヒドイ男。

「カズの、バカ……」

ソファーの上でライオンみたいに横暴な男の首にしがみ付きながら、目の前の肩に噛みついた。

逞しい肩についた、私の小さな歯型。
覆いかぶさるカズが自分の肩についた噛み跡を見て、小さく笑って牙をむく。

綺麗な口元からのぞいた白い犬歯。赤い舌。
それがゆっくりと近づいて、私の胸にかぶりつく。

「あ……っ、んん」

身体の奥から痺れるような甘さと陶酔感に、頭がぼんやりとしてしまう。

「えり子」

突然甘い声で名前を呼ばれ、心臓がぎゅっと締め付けられた。
黒い髪の間から、こちらを見上げる鋭い視線。
挑むような上目づかいに、身体の奥が戦慄く。

好きで好きで好きで。
死んでしまいそう。

いっそこのまま心臓まで食い破って、私の息の根を止めてくれたらいいのに。
そんなことを思ってしまう私は、やっぱりバカな女なんだと思う。


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